音楽療法の活動&ねらいの一例

音楽療法

こんにちは。
音楽療法士の玉榮奈津美(たまえなつみ)です。

音楽療法という言葉からは活動のイメージがしづらく、「リトミックみたいなもの?」「どんなことをするの?」とお思いの方もいらっしゃるかと思います。
リトミックとの違いについては後々改めてお伝えしますね。
今回は、音楽療法の活動プログラムの中でどのようなことを行っているのか、例として1つの活動内容&ねらいをご紹介していきます。

1年以上前のツイート(ポスト)の例ですが、こちらを解説しましょう。
※発達がゆっくりなお子さまを対象としたグループセッションを前提としています。

音楽療法では様々な活動を行っていますが、私の場合、特に低年齢のお子さまのセッションでは動きのある活動を必ず取り入れています。

一口で発達がゆっくりと言っても、お子さま一人ひとり個性も困りごとも様々です。
しかし、協調運動・身体調整の苦手さが見られ、そこが起因となって姿勢保持が難しい、手先が不器用、書字が上手くいかない等の困りごとに繋がっているケースは多くみられます。
そこで、音楽療法では、楽しく身体を動かしながら、協調運動や身体調整へのアプローチもしていきます。

前置きが長くなりましたが、
上記ツイート(ポスト)の例ですと、主に年長児以上のグループで実施しています。
というのも、活動自体に複数の指示と動きが存在しているため、低年齢児には活動の流れやルールを理解することが難しいことがあるからです。
もちろん、年長以上の年齢でもお子さまの状態によっては難しい場合があり、その際には工程を減らしてもっとシンプルな内容に変更する等臨機応変に対応していきます。

この活動では、

・音(音楽)の変化に気づく、聴き分ける力を育む
・動きのコントロール
・ルールの理解
・行動の変容

等が目的として設定できます。

グループのメンバー、そのお子さまの状態に合わせて設定しているので、同じ目的で繰り返し行う場合もあれば、同じ活動でも目的が変わり、目的に合わせて提示の仕方等アプローチを変えることもあります。
また、発達的にまだ物の貸し借り、やりとりが上手にできないことも多く、お子さま自身思いを言語化できないが故、他害が生じることもあります。
そのため、道具を使う活動、動きのある活動では、環境設定や見通し(事前の声かけ等も含めて)がとても大切になります。

環境設定、活動内容、提示の仕方等がそのお子さま達に合ったものとなっていて、且つ、お子さま達が「やってみたい」と思える活動で、(上手にできたかどうかではなく)やってみたら「楽しかった」、という経験そのものが重要だと考えています。
経験した結果、自分で判断したり、自分で身体をコントロールしたり、活動の裏にある様々な目的が乗っかってくるからです。

活動1つを取っても、多くのことが組み込まれており、外から見ると目的が分かりにくい面はありますが、
・楽しそうだな
・ここに興味もっているんだな
・これは嫌そうだな
・今どこを見ているんだろう
等、保護者の方はその時々のお子さんの姿を見て受け止め、共感していただくだけで十分です。
お子さん達はそれだけで嬉しくてもっとやってみようと前向きになれますからね。